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比屋定篤子×サトウユウ子 / RYUKYU STANDARD (CD) / UBCA-1049

ピアノと歌で贈る、沖縄のわらべうた。
故郷や思い出の場所、遠く離れた人たちを思い出すようなどこか懐かしく、郷愁を感じさせる沖縄の童唄を集めたホームソング集!

 

 歌とピアノのみの沖縄音楽。なんとも豊かで美しく、画期的な作品の登場である。
 ヴォーカリストは比屋定篤子。シンガー・ソングライターとして1997年にデビューし、シティポップスやブラジル音楽を取り入れながら独自の世界を築いてきた。沖縄に拠点を移してからもそのスタンスは変わっていないため、彼女が沖縄の民謡やわらべ唄を取り上げるのは、ファンにとっては驚きでしかない。
 そして、ピアノを弾くサトウユウ子は、いわゆるジャズ畑のプレイヤーだ。福岡出身ながら沖縄を拠点にライヴハウスなどで演奏を続け、多くのジャズ・ミュージシャンから信頼を得ている。民謡歌手の新良幸人との静謐なる傑作デュオ・アルバム『浄夜』(2011年)を発表しているが、一般的なイメージとして沖縄民謡とピアノが結び付くことはあまりないだろう。
 そんな“門外漢”の二人が挑戦するのは、タイトル通り堂々たるスタンダードだ。「安里屋ゆんた」や「てぃんさぐぬ花」といった誰もが知る名曲を核に、少しコミカルな「じんじん」から子守唄の「いったーあんまーまーかいが」まで多彩な全10曲。一部コーラスダビングはあるが、いずれも声とピアノのみにこだわり、三線や太鼓の音色は聞こえてこないし、民謡特有のコブシやリズムも封印されている。それがかえって言葉やメロディを引き立たせ、時にはゴスペルやブルースを思わせる瞬間もあってハッとさせられるのだ。
 ここまでシンプルかつ洗練された表現の沖縄音楽は聴いたことがない。そして、どんな本格派にも負けない沖縄への郷愁が感じられる。そういった意味では、沖縄音楽の本質に迫った意欲作であり、決して“異色”でも“門外漢”でもない真の“RYUKYU STANDARD”なのだ。

文・栗本斉(旅&音楽ライター/選曲家)

    比屋定篤子×サトウユウ子 / RYUKYU STANDARD (CD) / UBCA-1049

    ¥2,500価格
      1. いったーあんまーまーかいが
      2. ウーマクカマデー
      3. 月ぬ美しゃ
      4. じんじん
      5. 赤田首里殿内
      6. てぃんさぐぬ花
      7. 安里屋ゆんた
      8. 娘ジントーヨー
      9. ちんぬくじゅうしい
      10. 島々清しゃ
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